南海トラフ臨時情報解除を受けて

災害対策研究会代表宮本英治氏からコメントをいただきましたので原文のまま掲載します

臨時情報が解除されました。
日向灘地震に関するメールについて、多くの方から返信をいただきました。
ほとんどが、過剰反応することなく、防災計画を見直す機会にするとのご意見でした。

なお、今後も南海トラフ地震臨時情報が出る可能性があります。
2004年には紀伊半島南東沖でM7を超える地震が連続して発生したこともあります。(※1)
過去、日向灘地震が連続したこともあります。

南海トラフ地震そのものは、過去に90~150年間隔で起きており、前回からは約80年が経過しています。(※2)
いつ発生するかはわかりませんが備えが必要です。
さらに一歩進めて、時間はかかると思いますが、避難しないですむ対策(高台移転など)を目標にしていただければと思います。

気がかりもあります。
自治体(都道府県)は発電所の被害を考慮していません。
南海トラフ地震の場合、例えば中部地方では、火力・原子力発電所のほとんどが伊勢湾・三河湾・太平洋岸に面しています。(※3)
ブラックアウトが発生する可能性があり、計画停電も長期化します。
関東ではその経済的被害の影響が及ぶ中で、中部、関西、四国などへの支援や、疎開者の受け入れも必要です。

一方、神奈川でM5を超える直下地震も起きました。
首都圏では関東大震災が繰り返す200~400年の間にM7クラスの地震が10回程度起き、
M6以下は数えきれません。(※4)
今回の神奈川の直下地震はその一つにすぎません。
都心南部直下地震M7.3もその一つですが、都心南部直下地震では東京湾岸の火力発電所のほぼ全てが停止します。(※5)
以前の関東大震災(※6)では多くの子供たちを含め、東京の人口の約半数を疎開させましたし、阪神淡路大震災では2万人が自主的に疎開しました。(※7)
日本中で首都圏への支援や、首都圏からの疎開者の受け入れが必要です。

日本全体でこのような支援・受け入れ計画と準備が必要ですが、現状では自衛隊を除き(※8)、国や自治体にこのような計画はなく、個人や企業単位での対策・対応に任されているのが現状です。

なお、続いて関東に台風が接近しています。
過去の大規模停電に対する復旧期間は下記を参考としてください。(※9)
・関西電力(2018年台風21号)停電218万世帯 1週間で復旧
・中部電力(2018年台風24号)停電120万世帯 1週間で復旧
・東京電力(2019年台風15号)停電93万世帯  16日で復旧

参考資料※1~9
※1 P.54の図4. 3-3
※2 P.56の図4. 4-6
※3 P.58の図4. 4-15
※4 P.50の図4. 2-2,3
※5 P.51の図4. 2-6,7
※6 P.49の図4. 2-1
※7 P.53の図4. 2-14
※8 P.61の図4. 4-27
※9 P.10の図1. 2-1
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